春の大空に、身を委ねる。
前日まで振っていた雨は、今カラリと止んでいる。
濡れた舗装路を歩けば、濡れた土の香りが充満している。
朝日を浴びて、葉からしたたる雫がキラリと光っている。
俺は公園に一人来ていた。
雲一つない広大な蒼穹。
この日を待っていたのかと思ってしまうぐらい、桜が鮮やかな桃色を咲かせていた。
いないとすればアイツがいないということだけだ。
ソラは公園全体をキョロキョロと見渡す。誰も居ない。よし。
ゼスは、カバンを地面に落とし、ルースが立っていたその場所に立った。
ソラは眼下に広がる街の全景に目を凝らし、
辺りの音に耳を澄ませた。
でもだからこそ、忘れないうちに言うべきだ。
そう、いってやろう。あの言葉をーー
誰が何と言おうと、俺はこう思う。はっきりとこう言える。
いや言ってやろう。声を大にして。
そしてゼスは呟いた。
「MARVELOUS・・!」
その囁きが、宇宙せかいの中に融けたその瞬間―――
広大な宇宙の彼方で、また多くの”始まり”が音を立てて動き始めていた――――