ノア①Ocean Pupil【オーシャン・ピューポーオーシャンブルーの瞳】

☆  ☆  ☆

 静寂の夜空を、星々の流河りゅうが。

悠久の煌めき。

少年の闇頭上に拡がのるは、宇宙の無限(ほしぞら)だった。

名を、ノア=テイラー。

瞳の色は、海の融けたようなオーシャンブルー。

そのまなざしに宿る光は、深い闇夜の中でさえ、

無垢な輝きに溢れている。

瞳だけではない。髪もまた、不思議な仄光(びこう)を湛えていた。

夜風に髪が揺れるたび、巨月(えいせい)に照らされた部分が

真珠のような燐光を放つ。

そんな不思議な特徴を持つノアには、”夢”があった。

それは”たった一つ”だけ。

この惑星から脱け出して、別の宇宙(せかい)に行くこと――――。

ノアの傍らに在るのは、くろ焦げた宇宙船の残骸。

今日もまた、ノアは試行(ちょうせん)した。

それでも結局、飛び立つことはできなかった。

その失敗を表わすように、ノアの頬は煤で汚れていた。

だがノアの心には、一片の”迷い”もない。

行く―――。

必ず行く―――

そう、なにがあろうと絶対に行くんだ――――。

その刻(とき)、

そう固く誓う少年の瞳の虹彩を、一筋の流星が通過していった。

「あっ!流星ッ―――!」

ノアは反射的に声を発し、人差し指を夜空に向けた。

久々に見れた稀有な光景(げんしょう)に、

水面のように静まっていたノアの心に、

ぷるるんっという感動の波紋が投げ入れられる。

高揚感に、自然と口端に笑みが浮かぶ。

数え切れぬ星の瞬き。

小さな体に、膨大なエネルギーを宿すノア。

挑戦を待ち受けるように見下ろしてくる宇宙の輝きに、

立ち向かい続ける。

ぼくは見たいんだ。

まだ見ぬ人とか、場所とか、ワクワクさせる、いろんなものを―――!。

ぼくは―――宇宙せかいに逢いに行ゆく―――――。

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