プライム⑥【VS巨大怪獣】

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それを耳にしただけで、誰もが震え上がるような大音が、街中に響いていた。

惑星『ルターン』に設けられた居住シェルター。

ハビタブルプラネットとして有名な良環境のこの星には、いくつものシェルターが点在している。

しかしそのうちの一つが、今窮地に陥りつつあった。

ズシヤァァン・・ズシヤァァン・・。

一定のリズムで刻まれる強大な足音。

その足音の正体が、避難を終えて空っぽになった高層建築物の窓に映った。

それは恐竜のような、強靭な足であった。

しかしそれは10m程度の恐竜の比ではない。

大地を踏み鳴らす二本の足それぞれが、巨大な高層ビルの太さと長さに匹敵している。

そしてその両足は通過していくだけで、甚大な崩壊をもたらしていく。

街中に架けられていた道路や巨橋などが、みるも無残に破壊されていく。

そしてその生物の全体像が露になる。

その姿を一言で例えるのなら、まさに『怪獣』である。

蜥蜴のような毛が無く、それでいて凹凸のある皮膚。感情や知性ではなく、野生本能のみを溶かし込んだ

ような爬虫眼。

そして二足で歩くために、天うえに向かって垂直に伸びた後背部と尻尾に掛けてには、

刃のような背板が、針山の如く生え立っている。

そんな豪大な自身の存在を知らしめるように、その巨獣は大きく息を吸うと、

「ピギュギュュューーーン!」

という独特の甲高い声を上げた。

だがその雄たけびの最中、怪獣はふと横目の端―――、高層建造物の屋上にちらりと映った

小さな何かを捉えた。

その些細な異変に、ゆっくりと声帯を閉じてゆき、巨獣は屋上に視える小さな点に意識を集中した。

その点は、明らかに人間であった。

赤色の短髪が、立ち昇る炎のように豪々と上を向いている。

黒いぴちりと躰に密着したスウェットスーツに身を包む男の体格は、まさに筋肉の鋼をまとったかのように筋骨隆々。

しかし巨獣にとっては、ただの米粒程度のか弱い生物である。

知性が無くとも、相対している存在が自分よりも強いのか否かという判断は、巨獣の持っている本能だけであっても

簡単にその答えを出せた。

意識に置くことすら無駄に思える、矮小な存在。

巨獣はその男の姿からそっと目を逸らすと、再びシェルター内を進もうとしていた。

だがその相対する男は、にやりと挑戦的な表情を浮かべて、

叫んだのだ。

「おい、待て怪物!俺と勝負しようぜ――――」

■と。

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