スペクター―――。
それは、ディルの宿敵である。
世界の大きな事件の裏にいつもそいつは潜んでいると言われている。
複数のグループであるという見解もあれば、
政府の陰謀だとか、
スーパーインテリジェンスの思索、
完全な単独犯説など、その考えられた説例を挙げれば正直キリがない。
でも、そんな謎だからこそ、ディルは知りたい、知るべきだと思った。
たとえその先にある真実(こたえ)が、どんなものであったとしても―――。
そして、もしもスペクターが人間であるのなら聞きたいと思った。
自分の両親のことを。