吹き飛んだマスカレイダーは、列車の壁に激突し、そのまま地面へと倒れた。
一方、相方の身体が吹き飛んでくる直線状にいた、もう片方のマスカレイダーは、少女の首を掴んでいた手を離すことで、衝突を避けた。
「なんだ、誰だてめぇ・・・顔を見せろ」
「見せろ?なんで?隠してるのは―――お互い様だろ?」
そんな青年の言葉に対して、マスカレイダーは速攻を掛けた。
風の魔力を連れ立った高速移動魔術。彼自身もその速さにはかなりの自信があった。
だが、その動きは突然止められる。
足下の影を捕らえられたマスカレイダーは、高速移動の最中に停止した。
その様子を見て、フードからのぞく青年の口元が、にやりと口角を挙げた。
「速さはムダだよ。この影の能力の前じゃあねぇ」