ワイダに初めて出会ったのは、4年近く前の話である。
同い年ぐらいなのに、毅然としたワイダの姿は、
当時のゼスにとっては実に衝撃的だった。
生まれた時から隔離された、狭い常識のなかで考えていたのだから無理はない。
魔法も、技術も、空気も、ゼスにとっては何もかもが未知だった。
正直今でも時々、自分の意識が本当の現実世界にあるのか疑わしく感じるときもある。
ワイダが、「アルカディア捜索・開放作戦」および俺たち「アルカディアの子」の救出作戦に加わったのには、
ワイダがヴァレンダインファミリーという魔法名家の長女であったことが理由にあった。
多くの資産を持っているヴァレンタインファミリーの頭首であるルイス氏が
筆頭となって捜索費用を出資したことから始まり、
ネクロマンス(死操魔法)を習得したばかりのワイダを実践にならすという
二つのタイミングが重なり、俺たちはであった。
その後もワイダの父は解放された無知な俺たちが世界でやっていけるように
更生のための資金まで出してくれた。
俺はスペクターへの復讐という目標を胸に秘めながら、
俺はフリーランスになることに決めた。